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 昨年(2007年)から地球温暖化の元凶である温室効果ガスの削減に関する話題がさまざまに喧伝されています。

 というのも、1997年12月11日に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議/COP3)で議決された議定書である京都議定書(Kyoto Protocol)において、その削減努力の基点年が2008年と定められているからです。

※京都議定書正式呼称
・気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)

 具体的には、この京都議定書第3条において
・2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 [PFCs]、六フッ化硫黄)の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減することを目的として
・各締約国が二酸化炭素とそれに換算した他5種以下の排出量を以下の割当量を超えないよう削減すること
を求めています。

 各締結国ごとの目標は
・93%(−7%):アメリカ合衆国(条約から離脱)
・94%(−6%):カナダ、ハンガリー、日本、ポーランド
・95%(−5%):クロアチア
・100%(±0%):ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
・101%(+1%):ノルウェー
・108%(+8%):オーストラリア
・110%(+10%):アイスランド
となっています。

 日本には1990年と比べて−6%の削減が義務づけられていますが、各報道機関でも報じられているように−6%どころではなく、すでに+6%となっているため、2012年までには合算して−12%が目標となっています。そのため東欧諸国と交渉し、排出権取引を行うとの報道もありました。

 我が国もいよいよ待ったなしの状況となったわけです。これまで省エネ、ecoに関する動きには、どこかエキセントリックな匂いも感じていたのですが、この地球温暖化問題で何が起こっているのか、その根拠を確かめることとしました。




 各メディアもこの問題を積極的に取り上げています。1月6日(日)、NHK教テレビ育で放映された「ビジネス未来人」(毎週日曜日/午後7時30分)でも、この問題に関連する話題を取り上げていました。

 シリーズ エコの達人(1)の内容は「中小企業を変える省エネ術」でした。それによると....

 企業組織などを対象に省エネルギーの提案、施設の提供、維持・管理など包括的なサービスを行うESCO(Energy Service Company)という事業形態があるとのこと。大企業は、自前で設備投資などを行い省エネの実効を上げられますが、そこまでの余裕のない中小企業では、なかなか省エネを実施できない現状があります。

 そこで今回、登場したESCO事業会社の杉山利夫氏は、主に中小企業向けの省エネ提案を行っており、巨額な投資をすることなく、さまざまな工夫によって、番組で紹介された某工場では、その提案を受けて、年間約100万円もの省エネ(経費削減)を実現したとのことでした。

 次に紹介されたのが2007年、秋に名古屋に設立された企業の排出量取引を仲介する会社の事例。前述の杉山氏も取締役として参加とのこと。

 京都議定書を背景にして、すでに大企業には業界団体などから排出量の高い削減目標が課せられています。それらの状況も受け、行政側でも、近い将来、排出量取引を制度化する予定。

 この会社は、それに先駆け、自らも排出権取引が行われるように、企業とともに勉強会やシミュレーションを行っています。大企業の多くは、すでに省エネの努力を極限まで行っている。それでも目標が達成できない場合、どうすればよいのか。

 前述したように、省エネ努力を中小企業にも押し進め、そこで浮いた排出権を大企業に売るというものです。それが実現すれば、中小企業にとっては願ったり叶ったりです。省エネで経費削減ができるのに加えて、自らの努力で捻出した排出権を「商品」として販売し、ビジネスにもなるわけです。

 これらの民間ベーでの排出権取引は、省エネの先進地域であるEUでは積極的に行われているとのこと。省エネをうたい文句や感情で捉えるのではなく、資本制の中にビジネス、実利として組み込んでいく。そんな動きが顕在化するのが2008年だといえます。

 まずは、この問題を掘り下げるに際して「ESCO」事業について情報を集めてみましょう。

次回





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