|
|
我が国でも2008年2月1日(土)、一般紙の朝日新聞でも一面トップニュースとなった。マイクロソフトの買収提案の総額は4兆円強。金額が大きすぎ、ピントこない。米国の株式市場で好感され、株価も一時的に上がった。この動きはどんな意味を持つのか。
歴史を辿ると、マイクロソフトは、パソコン黎明期に、米国IBMにOSを提供、IBM互換機の隆盛にのって成長を遂げた。当時、パソコン同士は、インターネットのプロトコルでは、まだ繋がっていなかった。その後、ロータス社、ノベル社などが社内LANのために、独自の通信プロトコルを展開、パソコン同士は電話回線などを介して広域的にも繋がるようになった。
その間、マイクロソフトはOSと、その上で稼働するアプリケーション・ソフトで、一大ソフトウェア帝国を築いた。要約すれば、一台一台のパソコンを相手にビジネスを展開していた。
パソコンもインターネット接続するようになる。インターネットのプロトコルは主にUNIXの世界で標準となったTCP/IP。今のように誰もが利用する以前からインターネットはあった。衝撃的だったが「MOSIC」というブラウザの登場。それを契機にパソコンもTCP/IPで繋がり、「MOSIC」でホームページ閲覧ができるようになった。
やがてパソコンのブラウザにはネットスケープが登場、一時、興隆を誇ったが、マイクロソフトがOSとエクスプローラを抱き合わせ提供すると、トップの位置を明け渡した。マイクロソフトは、インターネットのインパクトに気づく。それでも収益の大本は、OSと、その上で稼働するアプリケーション・ソフト。インターネットで、どのように稼ぐかというビジネス・モデル展開には至らなかった。
インターネットの世界を最初に席巻したのはYahooだった。Yahooに行けば、ほぼ必要な情報は網羅されているし、検索できる。
続いて、この「検索もできる」に焦点を当てて、「優れて検索ができる」ビジネス・モデルを作ったのがGoogleだった。
YahooとGoogleの違いは何か。極端に簡略化していえば、Googleはコンテンツを作っていない。理論上では、インターネットに接続しているパソコン(以外の機器も)は全て繋がっている。ということは、それらパソコン(以外の機器も)に収められている公開情報は、全てGoogleの検索対象となる。
Yahooのトップページには、「建築窓」もあるが、分野別に情報が列記されている。Googleのトップページは、検索窓があるだけだ。
最初はYahooが便利だった。分野別に整理された情報から、辿り辿り必要な情報を探せる。やがてGoogleの検索精度が上がり、自発的(ここが大切)なキーワード入力で、必要な情報にたどり着けると、Googleを優先的に使うようになった。
マイクロソフトは一台一台のパソコンを相手にするビジネス・モデル、Yahooは情報・コンテンツを自身でも集約するビジネス・モデル。Googleはユーザーの自発的な検索行為をサポートし、インターネット上の全ての公開情報を検索対象とするビジネス・モデル。両社はまだ閉じている。要点はひとつ。Googleは開かれたフィールドを相手にしている。
果たしてマイクロソフトとYahooが連携しても、Googleに対抗できるのだろうか。Googleを凌駕するビジネス・モデルを造れないと、ただ巨額な資金が動き、うまくいつても、一+一=二の効果しか生み出せないのではないか。
Googleに課題がないのではない。これもよく知られているが、中国では「天安門」で検索すると、あの有名な戦車の前に一人立ちはだかった青年の画像検索はできない。インターネット上の全ての公開情報を検索対象とするが、検索結果の表示には何らかのフィルターをかけている。それだけの技術力を有するのは賞賛に値するが、Google検索の結果だけに依存する危険性もある。
|
|
|