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『カポーティ』
来日記者会見
監督::ベネット・ミラー
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズ・Jr、クリス・クーパー 、ブルース・グリーンウッド ほか
日時:2006年8月23日(水)
会場:ホテル西洋銀座
出席者:
ベネット・ミラー監督・田中康夫(「なんとなくクリスタル」2000年〜2006年8月まで長野県知事としても活躍)・浅田彰(「構造と力」「逃走論」)
ベネット・ミラー監督来日記者会見に、"たなカポーティ"登場
 本年度アカデミー賞で見に事主演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)を受賞した映画『カポーティ』の監督、ベネット・ミラー氏の来日記者会見が、ホテル西洋銀座(中央区・銀座)にて行われた。その会場に、元長野県知事の田中康夫氏と、映画評論家としても知られ田中氏とも親交の深い浅田彰京都大学助教授が駆けつけた。

『冷血』
著者:トルーマン・カポーティ
 二人は映画「カポーティ」のファンであると同時に、実在した作家トルーマン・カポーティが60年代〜70年代に掛けて、当時社会的に話題を提供し続け、常に時代の寵児として活躍していたこと事もあり、まさに田中康夫知事との共通点も多いことから本日の来日記者会見への参加が決まったという。

ベネット・ミラー監督:本作の脚本家であるダン・ファターマンとは12歳から、フィリップ・シーモア・ホフマンとは16才からの付き合いです。

 本作を製作するに至った理由は二つあります。この脚本には、カポーティが破滅に陥っていくという彼自身の悲劇だけでなく、アメリカの悲劇が描かれていて、それは、個人、企業、国にも通じるものがあると思いました。

 私たちもセプテンバーイレブンを目の当たりにし、全てが一瞬のうちに変ってしまうということを経験しました。そのこと もカポーティと通じることがある思い、映画にしたいと思いました。

 もう一つは、カポーティが文学的にやったことは、スキャンダラスな形で小説になりますが、犯人もカポーティも有名になってしまうところが、娯楽的であると感じたからです。

Q:映画の映像や音楽から、孤独や、悲しみが強く感じられますが、カポーティとは、どういう存在だったと思われますか?

『カポーティ』
著者:ジェラルド クラーク
ベネット・ミラー監督:そう感じてくれることは嬉しいです。カポーティは当時、最も目立った人間です。
 この映画はその人物のプライベートなストーリーです。業界で、アメリカで、当時最もカリスマ性のある作家の内面的に見えない部分を描きたかったのです。

Q:主演のフィリップ・シーモア・ホフマンですが、彼のどういうところに惹かれてキャスティングしましたか?役作りする上で、何かアドバイスしたことはありましたか?

ベネット・ミラー監督:彼はとても繊細な人間で、演じるということをよく理解している俳優です。
 「冷血」を書く前のカポーティと本人は似ていますが、よく見るとカポーティより若干体格が大きかったり、声も4オクターブくらい低いです。撮影中フィリップはちゃんと演じきれるかどうか不安を感じていました。私は必ず彼が演じきってくれると信じていました。彼は内面から役作りをして、外へ表現する、そういう俳優だと思います。

 ここでゲストの田中康夫さんと、浅田明さんが登場.監督に花束を渡す。

浅田明:作家の生涯を映画にするということは非常に無謀なことであると思いますが、この映画は見事にそれを描いている傑作です。
 彼の文脈というのは、本ではなかなか理解されない部分がありましたが、これを見ることにより、改めてカポーティという人間を考える良い機会になれば思います。

『ティファニーで朝食を』
著者:トルーマン カポーティ
田中康夫:カポーティは人生を正直に全うした人間であると思います。
 人生とは葛藤があり、矛盾があり、孤独なものです。映画のディティールの巧みさは極めてディーセントだと感じました。また、上品であり、気品も感じました。

Q:人がやったことが無いことをやるには、その分、何かを犠牲にすることになると思いますが、田中さんはそういったことはありますか?

田中康夫:特別、犠牲にするものはないと思います。恋愛も、ボランティアもそうですが、人々に尽くし、喜んでもらえたら、それが自分にも返ってきます。

 現代は、オートマチックで、殺人事件などは日常茶飯事だから、みんな不感症になっています。カポーティにとって第6感が働き、この事件と向き合わなければという事だったんだと思います。クリエイションする人というのは、「ひるまず、屈せず、逃げず」という姿勢が大切ですが、カポーティもそれを体現したが為に、周囲から俗物的な人間と理解されていたと思います。

Q:本作をご覧になって、作家魂に火はつきましたか?

田中康夫:カポーティは枠にはまらない作家なので、私などは足元にも及びません。

9月30日より全国順次公開。
公式サイト:http://www.sonypictures
.jp/movies/capote/index.html




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