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『恋愛睡眠のすすめ』
来日記者会見
監督:ミシェル・ゴンドリー
キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール、アラン・シャバ、ミュウ=ミュウ、ピエール・ヴァネック、エマ・ド・コーヌ、オレリア・プティほか
出席者:ミシェル・ゴンドリー
日時:3月16日(金)18時30分
場所:ANAホテル六本木 37F アリエス
4月28日(土)よりシネマライズほか全国順次ロードショー

公式サイト:
恋愛睡眠のすすめ

 天才ミシェル・ゴンドリー監督待望の最新作、「エターナル・サンシャイン」に続く超ロマンティックな愛の最高傑作。いとしい人に夢でも会いたい、そんな願いが本当になったら?。

 夢では完璧なのに、現実では上手くいかない・・・"睡眠中"に"恋愛"する極上のロマンティック・ムービー。ミシェル・ゴンドリー監督への貴重なインタビューを紹介。


Q:最初に監督から来場の皆様へ来日しての感想と、フランス映画祭に来場しての感想をお願いします。

ミシェル:みなさん、こんにちは。再びこうして日本に来られたことをとてもうれしく思っています。
 また、フランス映画祭に僕の作品が出品されたことをとてもうれしく思っています。東京に来るのはこれが3回目で毎回皆さんとても礼儀正しく、楽しく、いろいろな贈り物をもらうので個人的にもとても好きな町です。来年も息子とともに来日したいと思っていました。

Q:昨日はレッドカーペットを歩かれて日本のファンの方々と接しましたがいかがでしたか。

ミシェル:なかなかファンの方々とお会いする機会がなく、もう少し触れ合えたらとは思っていました。
 ファンの方々は僕に会いたい、話がしたいと思ってくれているんだけどオーガナイゼーションに優れた日本だけに、時間がタイトで素晴らしくはあるんだけど、触れ合える期間が短くて非常に残念ではありますね(笑)

Q:ちなみに監督が持っているノートは何のノートなんですか?

ミシェル:通訳を介して取材を受けているとどうしても訳している間に時間が出来てしまうから、その間に自分のドローウィングの技術を磨くため取材してくれる人の似顔絵を書いているんだ(笑)この記者会見に来てくださっている人の顔も描こうと思っているんだけどちょっと人が多くて難しいかもね(笑)

Q:今回の最新作「恋愛睡眠のすすめ」は監督自身の初脚本で主人公ステファンに自分が投影されているようですが物語の発想はどこから来たのでしょうか。

ミシェル:まさにおっしゃるとおりです。自分の手で脚本すべてを手がけたのは今回が初めてです。非常に長いプロセスを経て完成するのに7年もかかってしまいました。
 そもそものスタート地点は自分が夢に対して感じる部分や自分の見る夢というものが非常に鮮烈なものが多く、おきてからもそれを覚えていることが非常に多いんです。

 それが自分のクリエイティブにも非常に役に立っていて、例えば、監獄にいる夢をみて、はっと目が覚めて、また寝ると、監獄の夢の続きが始まったり、悪夢の続きを、現実か夢か分からないところで見たりする感覚を味わうことがあるんだ。

 それは脳の中の論理的な部分の仕組みなのかもしれないけれど、そんな自分の持つ様々な夢にまつわる体験をきっかけに、主人公ステファンのキャラクターを作り上げてきたんだ。
 夢の中では自信に満ち溢れた男の子なんだけど、現実世界では臆病でシャイな男の子像を作り上げるのと同時に個人的な恋愛体験(映画のなかで描かれているのに近い形で、出会ったり、その彼女に対する想いだったり)を様々に織り交ぜて脚本が出来たのがこの「恋愛睡眠のすすめ」なんです。

Q:主人公ステファンとステファニーの名前に意味を感じたのですが、何か意味があったのですか?
 また、シャルロット・ゲンズブールが昔と非常に変わった気がしたのですが、監督から見た彼女の魅力を教えてください。

ミシェル:シャルロットは昔に比べてもより魅力的になったけれど、そもそものフランス映画の女優と比べると一歩外に飛び出しているような気がしていたんだ。

 これは映画ファンの一人としてシャルロットを見てきた僕の個人的な意見なんだけど、シャルロットは社会の規範から離れて自分のルールで生きていける、そんな女性ではないかなと思っていたよ。それが主人公のステファンにものすごく似ていると思い、女の子の名前をステファニーにしたんだ。

 映画の中で二人はいろいろな意味で一緒になりそうなんだけど、結局なかなか上手くいかない。それはステファンの情熱が強すぎて、それをステファニーが嫌になってしまったのかもしれないね。
 実際にシャルロットと話をしてみると非常にユニークで内なる美しさを持っている人だった。その美しさというのは一見して分かるものではなく(20年来の知り合いのぼくでもそうだけど)自分が彼女と恋に落ちるとしても時間がかかるだろうね。それをステファンに投影したんだ。

Q:監督の一番気に入っているシーンを教えてください。

ミシェル:基本的にガエルとシャルロットの二人が出ているシーンはみんな気に入っているよ。
 なかでも一番好きなのは、ガエルが、ステファニーのルームメイト、ゾーイに会いにアパートに行ったときに、ステファニーがそれを分かっていながら、ステファンを中に入れて手の包帯を見てあげるシーンだね。その瞬間に二人がつながり始めて、クリエイティヴィティーが爆発するかのように、遊び始める。
 リアルでチャーミングなキャラクターを二人が演じてくれて、ソファに座る二人が本当にステファンとステファニーに見えた瞬間だったよ。

Q:今回、監督自身が主人公に投影されていますが、ガエルと監督の共通点はありますか?

ミシェル:んー(笑)問題は彼がハンサムすぎたことかな。自分と言い換えてもいい主人公がとてもハンサムなので僕が自分をガエルのように思っていると誤解されるのが心配だったよ(笑)
 ガエルは人間的にもすごく惹かれるし、監督として彼を起用したい理由ももち揃えている。
 彼と一緒にいるといつも女性は彼に釘付けになるのだけれど、主人公ステファンをより魅力的ではなく、セクシーでなく取るというのはそれはそれでむずかしかったなあ。

Q:今回、ガエルはフランス人の設定でフランス語と英語を話しますが、それは言葉がストレートに通じないとうような監督の狙いがあったのですか

ミシェル:そうだね。テーマ的にもパーフェクトだし、それを狙って作ったよ。
 これは実際に僕もNYに住んでいる気に入っている彼女と約束を取り付けたときに、僕はデートのつもりで誘ったのに、彼女はデートを単なる日付の意味にしかとってなかったんだ(笑)
 登場人物たちが母国語でない言葉を使うことで、自分の国にいるのに異国にいるような雰囲気が出たり、言葉の壁が誤解を招く様子も描きたかった。
 本編ではそれを一つの言い訳に二人の関係がよくなったりもするんだけどね。恋愛においてそういった誤解はつき物だから。

Q:今回の作品でミュージックビデオでも使えそうな手法が使われていましたが、制作でエンジョイできたことやそこでのエピソードを教えてください。

ミシェル:自分のPVはすべて自分の夢を映像化したものなんだ。偉そうな言い方かもしれないけれど、ビジョンが浮かんでしまうとそれを映像化したくてしょうがない。よっぽどのスターでないと予算もそうないのですべてを映像化するにはどうするか。そんなことを考えていく中でテクニックを磨いていったんだ。ヒントはロシアとチェコのアニメーションでこれが僕の原点だね。

 今回の「恋愛睡眠のすすめ」は100%自分のパーソナルな映画で自分を表現するのに今まで培ってきたこのテクニックを主人公のステファンの頭の中を見せるシーンで使いたいと思ったんだ。8ヶ月前にアニメーションシークエンスを2ヶ月かけて撮った。町並みにはとくにこだわって、すべて使用済みのトイレットペーパーの芯を使用した。助監督は代わりの筒でやればと言ったんだけど、それは僕の中ではだめだったんだ。糊付けされているところにチョビット残る紙の部分がたまらないんだ。ちなみにトイレットペーパーは親戚から集めて2年分も使ったよ。

Q:監督に影響を与えたロシアやチェコのアニメーションとは何なのですか?

ミシェル:「話の話」とかだね。
 逆説的なんだけど、ロシアやチェコは共産主義のおかげであれだけクリエイティブな作品が作れたんだと思うんだ。伝えたいという思いを作り手は持っているけれど大衆を満足させるという必要がなかったからよりアーティスティックに作品が作れたんだと思う。
 とてもチャーミングなロシアやチェコのアニメを見て、お金がなくてもあの頃のアニメーションはアーティスティックな意味では進化したクリエイティヴィティの集合体だと思うんだ。

(C) couramiaud-horse created by Lauri Faggioni





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