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監督:堤 幸彦
原作:業田良家(竹書房刊)
脚本:関えり香 里中静流
主題歌:「海原の月」安藤裕子
キャスト:中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀ほか
10月27日(土)渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー!
公式サイト:自虐の詩
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 『大阪・通天閣のふもと。
 ひなびたアパート「パンション飛田」では、今日もいつもの音が響く。

 イサオがちゃぶ台をひっくり返す音だ。幸江が作った食事が四方八方に散らばる。

自虐の詩(上巻・写真)下巻
 イサオは無口な乱暴者で酒飲み、その上ギャンブルに明け暮れている。今日も今日とて、イサオのちゃぶ台返しは続く。折角作ったトンカツも、無理して大枚をはたいて買った寿司も全てひっくり返された。しかし、幸江はイサオと一緒にいられるだけで幸せだった。

 そんな時、ムショ帰りの父親が幸江の前に現われる…。原作は、「週刊宝石」で連載(85年〜90年)された業田良家の漫画である。この作品は4コマ漫画でありながら、哲学的な深い人生観を描き出した作品として「日本一泣ける4コマ漫画」と大絶賛された伝説の作品だ。

 健気な妻・幸江と無口な夫・イサオとの一風変わった愛や生活の様子を面白おかしく描き、必殺のオチはイサオのちゃぶ台返し…というお決まりのパターンを重ねていきながら、やがて物語は大河小説の態をなし、一発逆転大ホームランを放つ。一見、ギャグ、CG満載のぶっとんだバラエティのように見えるが、実のところ生活の中のリアルな笑いを描いてきた堤幸彦監督の真骨頂。

 濃い面子によるリズミカルな大阪下町貧乏コントに笑い転げていると、いつしか、幸江とイサオの愛の姿に号泣させられてしまうだろう。イサオのちゃぶ台返しにも似た、監督・堤幸彦の高度な技が見事に決まるのだ。

 笑いの中に人間を描くこと──堤幸彦監督がこれまでやってきたことが、「自虐の詩」という原作と出会い、昇華したといっても過言ではない。これは堤版「平成・夫婦善哉」である。ラストに流れる安藤裕子の主題歌「海原の月」の心地よい曲が物語に一層の深みをもたらす。

 笑いあり、涙ありの怒涛のエンターテイメントがここに誕生した。

(C)2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ




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