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 新年気分も抜けたと思ったら、株価は600円ほども下落し、原油も1バレルで100ドルを一時、越えました。アイオアの民主党党員集会ではオバマ氏が第一位、この州は人口の約90パーセントが白人とのこと。何か大乱の予兆です。

 そんな世界の動きはさておき、寒い夜には、個人まりと寝酒としてバーボンのお湯割りを飲みます。通によると、邪道だそうですが、なかなか美味しいのです。

 そんな時、聴くのはブルース。ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズなど、後のロックにも大きな影響を与えたアフリカ系アメリカンの偉大なミュージシャン。アメリカの演歌みたいなもの。結構、バーボンと一緒にしみてきます。




 ブルース。苛酷な労働と人種差別の中で暮らしていたアフリカ系アメリカン。その労働の中で歌われていた歌が遠いルーツといわれています。

 そんな人々の中から、主にアコースティック・ギターとハーモニカでブルースを弾き語りするミュージシャンが生まれ、デルタ・ブルースが形成されていきます。この「デルタ」とは、アメリカ合衆国南部のミシシッピ川流域(デルタ)やメンフィス・テネシー州などの地域を指します。

ロバート・ジョンソンへの旅〜その音楽と人生
 デルタ・ブルースを代表するミュージシャンがロバート・ジョンソンです。彼は一本のギターを抱えて、ブルースを弾き語りして、アメリカ大陸中を渡り歩きました。超絶的なギター・テクニックから生まれたのが「クロスロード伝説」です。
 「クロスロード(十字路)で悪魔に魂を売り渡してテクニックを手に入れた」という伝説が広まっていきました。

 旅の道すがら、沢山の女性と浮き名を流し、ある時、人妻に手を出し、毒殺されたといわれています。27歳でした。クロスロード伝説では、悪魔に毒殺されたのだということになっていますが......。

 そのデルタ・ブルースを更に発展させたのがマディ・ウォーターズです。彼の活動拠点がシカゴであったことから、この系統のブルースはシカゴ・ブルースと呼ばれています。その後、彼は、使用楽器をアコースティック・ギターからエレクトリック・ギターに持ち変えました。彼が確立したのボトルネック(ガラスビンの首の部分)を用いたエレキギターの奏法です。

ロバート・ジョンソン/コンプリート・レコーディングス
 ブルースをよりポップにし、幅広い人気を博しているB.B.キングは、彼のことを「シカゴのボス」と呼んでリスベクトしているのはよく知られています。彼から影響を受けたのがローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、ポール・ロジャースなどです。

 厳しい現実を歌うことによって自ら癒さざるをえなかった。そんな中で生まれたブルース。ブルースを聴くと、彼らの深い悲しみが伝わり、一時、落ち込んだりするのですが、聴いているうちに、こちらも癒されます。これこそ音楽がもっている効用のひとつ。まるで小さな死と再生のようなものが感じられます。


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