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 2008年、今年は日本からのブラジル移民が海を渡ってから100周年を迎えた。6月21日、現地、サンパウロではブラジル日本移民百周年記念式祭典が開催された。

 折から各メディアでも、ブラジル移民に関連する報道が続いている。多くの苦難を経てブラジルの地に生活の場を築いた一世たちは年老い、すでに日本語も話せない世代が主流となりつつあるという。日本国内への出稼ぎも定常化しつつあり、また若い世代の中には、ブラジルに戻らず、日本国籍を得るものもあるという。これからの100年、彼らはどんな変貌を遂げ、二つの祖国はどんな関係を築いていくのだろうか。

 そんな背景からか、ブラジルには親近感が持てる。そして、ブラジルといえば、サンバ、ボサノバなど音楽の宝庫だ。今回は、ブラジル音楽を代表するアーティストを紹介しよう。




 ガル・コスタ(Gal Costa)。1945年9月、ブラジルのサルヴァドール生まれ。ブラジリアン・ミュージックの女王だ。

 手元にあるのは「スタンダードを歌う」。2007年にデビュー40周年を迎えた彼女が2003年に発表したアルバムで、1920年代から70年代の間に作られたブラジル音楽のスタンダードを収めている。

 父親がレコード店を営んでいたため、少女時代からブラジル音楽の名曲を数多く耳にしてきた彼女。このアルバムでは、そんな故国、ブラジルの音楽の歴史と先達たちへのリスペクトが表現されている。

 彼女の歌声は、一度聴くと、忘れない。不思議なシルキー・ヴォイス。60年代には、ブラジルの音楽様式と欧米のサイケデリック音楽をミックスしたような表現をしたこともあったが、近年は、このアルバムにみられように、スタンダードへの傾倒を深めている。

 開放的で、陽気で、お祭りが好きでといったイメージで受けとめられがちなブラジル人だが、彼らにも他の南米諸国と同様に苦難の歴史があった。
 1968年、彼女の音楽は、時の軍事独裁政権から検閲に対象とされた。すると彼女は、音楽を通して軍事独裁政権への抗議を続け、リベラルな政治運動家としても活動した。

 そんな時代に対する革新的な感性をもっている彼女のことだから、このアルバムは決して懐古趣味には陥っていない。ブラジル音楽の伝統に根ざしながら、現代の感覚も取り入れたアレンジで、サンバ・カンサォンと呼ばれるロマンチックで叙情的なサンバから、小粋で都会的なサンバ、ボボサノバ、そして彼女の故郷でもあるブラジル北東部の音楽などさまざまな楽曲を彼女自身の色に染めあげている。

1.美しい花
2.コパカバーナの土曜日~コパカバーナ
3.ノッソス・モメント
4..私の心をきずつけるために
5.ドノ・ドス・テウス・オーリョス
6.喧嘩
7.フィン・ジ・カーゾ
8.ネルヴォス・ジ・アソ
9.アウゲン・コモ・トゥ
10.アヴェ・マリア・ノ・モーホ
11.ショーラ・トゥア・トリステーザ
12.カルー
13.枯葉
14.イ・ダイー?
15.朝露が落ちて~黄色いリボン~また明日~不幸の予感

ガル・コスタ公式サイト(ポルトガル語・英語)

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